いろいろなビオトープ / Biotope

カールスルーエで見つけたいろいろなビオトープを紹介

< もくじ >

生き物の住むところ
ここはどこ?(屋上のビオトープ)
カールスルーエ 最後の砂丘
川のビオトープ
市の郊外を流れるフィンツ川の遊歩道
川にビオトープ帯をつくり、豊かな自然が取り戻されました。

生き物の住むところ

言うまでもありませんが、人間にとって自然はかけがえのないものです。食べ物はもちろん、きれいな水や空気も豊かな自然の中から生み出されます。また憩いを求めて緑の中を散歩したり、公園でひなたぼっこをしたり、心の安らぎのためにも豊かな自然はとても大切です。でも無秩序に街や工場を作ったり、農業のために土地を耕せば、自然は失われてゆくばかりです。

ビオトープとはもともとギリシャ語で『生き物の住むところ』
という意味があります。でもこれだけでは意味が漠然としていますね。ちょっと専門的な言い方をすると:
『地理的、気候的にもっとも適した動物と植物がバランスを保って生きていける空間』
例えば私の住むカールスルーエ周辺で言えば、『ハスが生えていて、魚やカモが住める池』、『野ウサギや野ネズミ、ヤブ蚊が住める林』などです。ドイツにはドイツの、日本には日本の、その地域それぞれのビオトープがあるわけです。 私なりにビオトープを表現すれば:
『人間の生活するところに生み出された自然の空間』
私の住むカールスルーエ市の公園局は街造りのなかでビオトープの考え方をたくさん取り入れています。街、川、畑などの中で積極的に自然を回復することで、いろいろな植物や小動物が帰ってくるようになりました。写真で実際の例をみてみましょう。
 

ここはどこ? (屋上のビオトープ)

ビルの屋上のビオトープ
ドイツ語ではDachgarten(Dach:屋根、Garten:庭) 特に小鳥が集まってきます。
写真だけでは分かりませんが、このビルは6階建てで街の中心部にあります。定期的に草を刈り、大きな木は生えないようにしています。
この部分は住宅
これだけを見ると、とてもビルの上だとは思えませんね。下の写真でもそうですが、壁際に柵を
作りツタがはえやすいようにしています。
ビルの全景
屋上の右端が1枚目と2枚目の写真の場所です。3枚目の写真はビルの裏側です。このビオトープは公園局が造って管理しているので、ビルの屋上としてはとても規模が大きいです。一般のビルでも同じような考え方を取り入れ、屋上などに緑地をつくる例が増えています。

カールスルーエ 最後の砂丘

長さ300m幅50m
ここはカールスルーエ市の住宅街に残されたライン川の砂丘です。奥に見える建物は小学校。ここはライン川から4キロほど離れていますが、昔は川がここを流れていたわけです。市に残る最後の砂丘。
野ネズミの掘った穴
砂丘は砂丘として残してゆくのも、やはりビオトープの考え方です。歩いてみると、たしかに地面はきめの細かい砂です。野ネズミがやってくるようで、いたるところに穴があいています。
乾燥と暑さに強い植物
こういった砂地に生きられるのは、乾燥と夏の暑さに耐えられる植物です。しかし、この小さな砂丘もいつかはなくなってしまうことでしょう。ここは四方を住宅に囲まれていていて、芝生などの草がじわじわと砂丘に広がっています。
体育館の屋上
体育館の屋上には土が盛ってあり、草が植えてあります。この体育館を建てるために、今までそこにあった緑地はなくなってしまいました。無くなった分の緑地を新たに作ったわけです。
屋根の上の植物
屋根の上には、乾燥と暑さに強く、薄い表土の上でも生きてゆけるものが植えられています。まだ緑はありません(3月下旬)が、夏になれば小鳥がたくさんやってきます。

川のビオトープ
カールスルーエ市の郊外、ドゥーラッハの町を流れるフィンツ川

自然に戻す
昔はコンクリートで固められてましたが、なるべく自然の状態を回復させようというのが現在の考え方です。まっすぐだった川にカーブを造ったり、よどみを造ったりしています。そうすることによって、だんだんその環境に合った草や木が生え、トンボなどの昆虫が帰ってくるようになりました(一部の木は人が植えたもの)。
流れてきた種が根づく
この小さな中州も、もとは人工的に作ったものです。石を流れないように固定しただけですが、そのあとしぜんと土や砂がその上を覆い、植物が生えてきました。
作られた当時
中州が作られてまもない頃。植えられた木もまだ小さいです。
遊歩道
川のすぐ横には歩道が作られています。散歩する人は川を身近に感じることができますね。川沿いに造られたビオトープ帯は地元の人達の憩いの場です。
餌をあげないで!
この看板には、川に住むカモなどに餌をあげないように書いてあります。もともと水鳥は自然にある餌だけを食べ、その環境の中でバランスをたもって生きています。餌をあげると、水鳥がもつ生活環境を壊してしまうんですね。そうは言っても、やっぱり餌をあげている人がいました。
(日本語訳は 【 資料 】 に載っています。)
川岸におかれたベンチ
川と川岸全体が公園のように見えます。所々にこうしたベンチも置いてあります。この写真を写したのは11月の初めでした。(他の写真は3月です。)紅葉した木々がとてもきれいです。
水に親しむ
こんな風に川岸に大きな岩を敷いてあるところもあります。こども達が、川まで降りて遊んでいました。
町の中
今でも、ドゥーラッハの町の中はこのような状態です。ビオトープ帯を造るための場所がありません。また市の工事予算もかぎられていますから、費用と効果のバランスを考えて何を優先させるべきなのか計画がたてられます。
 
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ビオトープ見学は、市の公園局の方にお世話になりました。
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