風力発電

趣味で風力発電所を作るには!?
2000/11 作製
<コンテンツ“家庭の太陽エネルギー利用”と“風力発電”は
          “高校の環境研修”に参加した経験をもとに作製しました。>
< もくじ >
ゴミの山で風力発電
1基で400戸分の電力を発電
ゴミの山で風力発電
カールスルーエ市のゴミ埋め立て地には巨大な発電用の風車が2基立っています(さらにもう1基が計画中)。普通、ゴミの山は土をかぶせて公園などにします。ゴミ埋め立て地は郊外にあるし、周辺より標高が高くなる(約70m)ので風車を建てるには絶好です。

実はこの風車、市が建てたものではありません。個人が会社を作り、市から土地を借りて建てたものです。風車を1基建てるのに約200万マルク(約1億円、建設費込み)かかるので個人で建てるのは大変。そこで一口2000マルク(約10万円)で出資者160人を募って費用の約半分を集め、あとは銀行から借りたそうです。約10年後には黒字になる予定。

会社の代表ミュラショーンさんががこの風力発電所について説明してくれました。風力発電では、発電する時化石燃料を消費しません。風も、もとをたどれば太陽エネルギーによって生まれるもの。経済的な儲けはありませんが『これも趣味の一つ』という言葉が印象的でした。ずいぶんスケールの大きな趣味です。環境保全のためにできることをするという考え方は、規模はだいぶ違うけれど住宅の太陽熱温水器や太陽電池と似ていると思います。

ミュラショーンさんも言っていましたが、将来は化石燃料や原子力に頼らず太陽光発電水力発電風力発電バイオマスを利用した発電(生ゴミから出るメタンガスなどを利用)などですべての電力をまかなうのが理想です。今の技術では難しいですが、将来技術が進歩すれば可能となるかもしれません。

風力発電所についての説明
風車は広大なゴミ埋め立て地に立っています。現在もゴミの埋め立てが続いていますが、風車が立っているのはすでに埋め立てが終った一番高いところです。山の表面には土がかぶせられ、草も生えています。
ゴミ埋め立て地
目立つのはプラスチックやビニールです。そういった素材は埋めても自然に返りませんが、ドイツでもすべてを分別するのは不可能です。そのためには消費社会の形を変える必要があります。

所々に立つ黒い筒は地下で発生するメタンガスを集める設備です。発電によって高圧の電流が発生するので、ガス爆発が起こらないように対策がとられています。

巨大な風車
近くで見ると巨大さにビックリ。塔の中のハシゴ(たぶん階段もあると思う)を登って上部のモーターまで行けるそうです。ミュラショーンさんは『今日は人数が多いので、上には登れませんが…』と言ってました。高さは約70m!(モーター部分まで)
1基で400戸分の電力を発電
地盤が安定していないゴミの山にこれだけ巨大な物を建てると、倒れないのか心配になります。ゴミの山は今後20年間で約3m低くなると予想されています(1年目は約50センチでした)。風車の下には巨大な円盤状の土台(直径21m、重さ1000トン)が埋まっていて、背の高い風車も安定して立つように設計されています。土台全体が均等に沈下するので塔が傾くことはないそうです。昨年(1999年)12月に最大瞬間風速40m/s以上の大嵐がやってきました。テストとしてはかなりハードでしたが、羽の付け根が少し緩んだだけで倒れることはありませんでした。
風車(1号機)のデータ
塔の高さ: 
70m
風車の直径:
52m(計画中の風車は77m)
塔と風車の重さ:
120トン(土台1000トン)
最大出力:
800kW(注1
年間発電量:
1.2ギガWh(注2
市の電力買い取り価格:
18ペニッヒ/kWh(約9円) (注3
必要な風速:
3〜25m/s(注4
 
注1:
最も効率よく風車が回る時の出力。風の強さは変化しますから、出力は常に変化。
注2:
一般家庭約400件が1年に使う電力量に相当。
注3:
法律で市の電力買い取り価格が決まっています。そうでないと他の安い電力との競争に勝てません。これも市の補助の一種です。
注4:
25m/sになると安全のために操業停止
風車(1号機)の発電実績(1999年)
  発電量(kWh)
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
158 862
142 744
102 406
80 928
61 072
50 938
44 200
53 442
61 976
115 180
91 464
201 804
合計
1 165 086
"Windkraftnalage GmbH & Co.KG(風力発電有限会社)"の資料より
 
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