自転車小旅行

自転車持って列車に乗ろう!
< もくじ >
改札が無い!? ドイツの列車システム
自転車と列車のいい関係
皇帝が眠るシュパイヤー大聖堂
改札が無い!? ドイツの列車システム
8月14日快晴、気温30度。汗をポトポト流しながら自転車で小旅行に出かけました。目的地は2000年以上の歴史を持つライン川沿いの小さな街シュパイヤー(Speyer)。ハイデルベルグの西、約20kmにあります。自転車旅行といっても実際は列車に自転車を乗せて目的地まで行く気ままな旅。『これって環境のはなし?』とも思いましたが、まあ硬いことは抜きにしましょう。普通の旅行記とは違った視点で書きました。

まず公共交通システムの説明を少し。ドイツの公共交通システム(鉄道、バス)は大きく2つのグループに分かれます。地域の交通局が市電とバスを運行し、ドイツ鉄道(DB)が全国ネットの鉄道を運行しています。例えばカールスルーエ地区(バーデンバーデンを含む)はカールスルーエ交通局(KVV)の担当範囲。こういう交通局がドイツ全体で100から200くらいあると思います。

市電やバスを利用する時は各停留所の自動販売機(次の写真)で切符を買います。それから刻印機に切符を差込み“ガチャン!”と日付と時間を記入して乗車(市電やバスには刻印機が備え付けられているので、乗ってから記入してもいい)。 改札はありませんが、たまに私服の検札係が乗ってきてチェック。突然“Kontrolle!(検札!)”と言って乗客の切符を調べ始めます。切符を持っていない人は青くなるわけ。その場合は60マルク(約3600円)の罰金。

市電とバスの切符販売機
切符には普通券、子供券(これは犬用にも使える!)、自転車券があります。それと人数切符の種類(1回券、4回券、1日券、1ヵ月券など)、行き先をボタンで選択すると金額が表示されます。写真の右に写っているのが刻印機。
DBの切符自動販売機
普通は駅の窓口で買います。最近やっとこのような自動販売機が登場しました。誇らしげに “Neu(NEW)”と書いてあります。カードのみ使用できます。DBの場合も駅に改札はありませんが、地域交通とは違って、車掌が列車内を回り切符にスタンプを押します。
いろいろな切符
*DBの乗車券(上、左1番目、右3番目)
*KVVの乗車券(右1番目)
*KVVの定期券(右2番目)
*大きさの比較のためのフロッピー(左2番目)

日本の切符に比べるとずいぶん大きいですね。もっと小さくできるはずですし、紙の無駄使いも目立ちます。日本のように回収されないからでしょうか、紙節約の意識が低いです。

カールスルーエ駅構内
かまぼこ型の屋根は西ヨーロッパの駅の特徴です。階段の右に見える黒いのは荷物用のベルトコンベアーです。
駅のごみ箱
4種類のごみ箱が組み合わせてあります(写真左が表で右が裏)。左から容器ゴミ(缶、お菓子の袋、プラスチック容器など)、一般ゴミガラス容器紙ゴミ。投入口から中をのぞいてみましたが、残念ながら分別はかなりてきとうです。
普通列車の運転席
この列車には冷房が付いてないので運転席も暑い! でもドアを開けて運転するのは規則違反なんじゃない?!

“切符を買ってから電車に乗るべし!”
この表示には切符を持たずに乗った場合の罰則が書いてあります。

ちょっと見にくいのですが、一部分『切符は運転手から買わずに、自動販売機で』とマジックで訂正してあります(以前は運転手から買うこともできたわけです)。手書きで訂正してあるのがなんともアバウト。落書きかと思いました(笑)。

自転車と列車のいい関係
列車を待つ乗客
毎日“自転車+列車”で通勤・通学する人もいます。夏は写真のようなサイクリング旅行客が増加。よく見ると、後タイヤがパンクしてますね。
多目的車輌
最新式の普通列車。新式、旧式にかかわらず、普通列車にはこのような多目的車輌が2つくらい付いています。座席は折り畳み式で、自転車、乳母車、車椅子用のスペースが大きくとってあります。

禁煙、2等車、車椅子・自転車・乳母車用スペースあり
写真ではわかりませんが、奥に障害者用トイレがあります。またホームと列車の床の段差もありません(ふつうの列車はなんと階段3段の高低差がある!)。ここまで徹底したバリアフリーの意識には驚きを通り越して感動を覚えます。

ただし、こういった車輌はまだまだ少数(主観では1割くらい)。また、エレベーターの設置されている駅はごく少数です。列車は最新式でも、障害者が1人で列車まで来れるわけではありません。ドイツでも障害者に対する公共施設の配慮はまだまだ不充分です。

荷物用ベルトコンベアー
重い荷物を運ぶため、駅の階段にはベルトコンベアーが付いています(荷物を乗せると赤外線センサーが働いて動き出す)。ただし、すべての階段に付いているわけではないので、自転車の持ち運びは一苦労。最後は体力勝負です!
皇帝が眠るシュパイヤー大聖堂
シュパイヤー大聖堂
最後にシュパイヤーの街の紹介を少し。この大聖堂は1030年に建てられました。実物は巨大! 世界で一番大きいロマン様式の教会で、ユネスコの世界遺産にも指定されているそうです。地下には4人のドイツ皇帝と、4人の国王の遺体が安置されています。
旧城壁の入り口に建つ塔
現在は街の中心になっていますが、昔はこの塔が街を取り囲む城壁の入り口でした。ドイツの古い町には、石畳が多く残っています。風情はあるのですが、自転車で走るとガタゴトと強烈な振動が伝わってきます。スーツケースのタイヤがよく壊れるという弊害も!?
名物フラムクーヘン(Frammkuchen)
この地方の名物料理です。“細切れの玉ねぎとベーコン入り、トマトソース無しの薄いピザ”といったおもむき(わかりますか?)。向かいのお客さんにフラムクーヘンの写真を撮りたいと言ったら、にっこりポーズまでつけてくれました。私はビールも注文しましたが、友人によればシュパイアーのビールが南西ドイツで一番おいしいとか。これは好みの問題ですね。
 
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