この地方の降水量(年間750mm程度)は日本より少なく、アルプ川は流れがゆるやかです。日本の川に比べれば表情は穏やかですが2、3年に1度は川があふれるし、住宅が水に浸かることもあります。日本の洪水とは様子が違い、急流が川岸を洗い流すような激しいものはまれです。じわじわと水位が上がってついに水が川からあふれるという感じ。そういう被害が出るにもかかわらず人が水のすぐそばに住み続けているのはとても興味深いことです。
今回のレポートのために何度もアルプ川へ足を運びましたが、そこで感じたのは“
人と水辺の近さ”でした。川沿いに建つ家の庭にはかならずと言っていいほど水辺へ降りる階段があります。今は水道がありますが昔は炊事や家事のために川の水を利用していたのでしょう。公園にも水辺へ降りて行ける階段がたくさんあるし、川と人を隔てる柵もありませんから自由に川へ降りて遊んだり犬を泳がせたりできます。このページ上の
地図に載っているのはアルプ川全体の3分の1程度ですが、この範囲では
川岸に自転車道が整備されていています。土日ともなればたくさんの人がサイクリング、ジョギング、散歩を楽しみます。そんな風に人と川の距離がとても近いんです。ものさしで計れる距離だけでなく、心理的な距離がとても近いように感じました。
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ドイツの釣り人
毛針でマスを釣っている人にポーズを取ってもらいました。ドイツの川で魚を釣るには有料の免許が必要です。また地元の釣り組合に加入することも義務づけられています。無免許で釣りをして見つかると罰金。日本に比べると釣り人口はずっと少数です。 |
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今日の釣果(ちょうか)はゼロ
この日の釣果は残念ながらゼロ。釣れる魚は20センチくらい。「烏(う)が来ると全部魚を食べてしまって釣れなくなるなるんだ。」と言ってました。初めのうちはなんの鳥かわからなかったのですが、「日本で首にヒモをつけて漁をする鳥」と言われてわかりました。 |
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自然観察のための表示板
この地図には川沿いの自転車道と自然観察ポイントが書いてあります。親水公園、木の杭を使った古い護岸、砂岩・岩・ハンノキを使った護岸、etc.
。川沿いには自転車道が整備されていて気持ち良くサイクリングできます。 |
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川辺の公園
一見、無造作に岩が積まれていますが、人が水辺に降りていけるようになっています。水辺が近くなると今度は水の事故が気になるところ。河川局の方にそのことを聞いたら、記憶にある限りでは水遊び中の重大事故はないそうです。水に親しむことを考えるとちょうどいい大きさの川ですね。 |
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川で泳ぐ子供(写真は下流から上流を見ている)
暖かくなるとさっそく子供たちが泳ぎにやってきます。この部分で川が合流していますが、右は小型発電所、左は魚の遡上(そじょう)用水路へつながります。魚は流れの速い方の川を上っていきますから、右の水流が緩やかになるようシャベルカーで調節。(この日は日曜) |
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水辺を散歩
右手に犬、左手に三輪車のお母さん。犬は綱を外して散歩する飼い主が多いようです。川沿いの大きな公園にはよく「犬の放し飼いOK」の看板が立っています。 |
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澄んだ川の水
70年代は悪臭がするほど汚かったそうですが、今はご覧の通り。橋の上から眺めると水草や小魚がよく見えます。現在アルプ川に住む水中生物(肉眼で見える)は約140種類です。実は戦前よりも数が多い!
水質改善が功を奏しているわけです。 |
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魚の遡上用水路
傾斜がきつく流れが速い場所は魚にとって大問題。写真の左側の水路を魚が上りますが、そこには大きな自然石が階段状に並べられています。幅が狭くなっているので、水量が少なくなっても魚が遡上できます。 |
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川辺の家
ドイツでも一戸建ての家は庶民の夢。家を持つと今度は庭造りに励むことになります。この家は庭から川へ通じる斜面もちゃんと手入れしているからご立派! |
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階段でつながる庭と川
昔は毎日のように川へ降りていたのでしょう。庭と川をつなぐ石造りの古い階段があります。こういった一般家庭の階段は、今はほとんど使われていないようです。 |
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石を積んだだけの岸
この岸辺は石を積んだだけです。水辺と人の生活がとても近いですね。 |
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ブロックを積んだ岸
岸のブロックは家の建築にも使われる砂岩。この砂岩はこの地方でたくさん取れます。 |
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消防署のウサギ
川岸にある消防署の巨大なウサギ。復活祭にちなんでいるのかも。消防署員のシャレですね。 |