街を包む緑のネット |
キーワードは緑のネットワーク
緑のネットワークの中心になるのは大きな森や公園、墓地などです。それと中くらいの大きさの緑地を網の目のようにつなぐことによって、ビオトープは有機的な働きをします。帯状の緑地帯、川、クラインガルテン、街の中の小さな公園やアパートの庭などがネットワークの網を作ります。屋上のビオトープもその一つですね。街路樹も緑のネットワークのために大切ですが、これは車の騒音を和らげるのにも有効です。住民も、緑地が網の目のように広がっていれば、緑を多く感じることができます。 下の地図はカールスルーエ市の中心部です(このページの一番最初の写真と同じ所)。上のほうにカールスルーエ城の森、下のほうに地下水の保護林が大きく広がっています。この大きな二つの森は、特に夏、街の換気のためにも大切な役割を果たします。市街区で温められた空気は上空に逃げて、森から新鮮で涼しい空気が流れ込んで来ます。20数万の人口を持つ中都市にこれだけの緑地があるというのはうらやましいことですね。この地図を見ると緑のネットワークをキーワードにして緑地整備が進められていることがよく分かります。
参考となるカールスルーエ市の試み
写真で見てきたビオトープはそれぞれ、どんな植物や動物を呼び戻すかというコンセプトを持っています。もし人が何も手入れをしなければ、例えば草原はいずれ森になります(下の写真を見てください)。でもそれは必ずしも人が望む多様性のある自然ということではなく、草原を好む昆虫などは住めなくなります。
また、ビオトープを造ったり管理するにはお金がかかるので、すべての計画をすぐに実現できるわけではありません。周辺に住む住民の理解を得られないこともありますが、ビオトープの考え方は広くドイツに受け入れられていて、これからも多くのビオトープが造られるはずです。 それから、カールスルーエ市での例がすぐにそのまま日本に適用できるわけではありません。降雨量や日照量、地形、土壌、動物や植物の種類などが大きく違うので、日本に合ったビオトープを独自に考える必要があります。しかし、自然と人間がどのように共存して生きていけるのか、ドイツのビオトープの試みは日本にとってもたいへん参考になります。
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ビオトープ見学は、市の公園局の方にお世話になりました。 Copyright 2000 MATSUDA,Masahiro. All rights reserved. |