ビオトープの公園

アオトバーンの上のビオトープ(地図
< もくじ >
アオトバーンの上に作られた大きなビオトープの公園
普通の公園とビオトープの違い
公園にある、いろいろなタイプのビオトープ

アオトバーンの上に作られた大きなビオトープの公園

アオトバーンの上の草原
この大きな公園全体がビオトープの考え方を取り入れています。実はこの公園、アオトバーンの上にあります。
アオトバーンの入り口
ここが公園(600m)の下を通るアオトバーン(4車線)の入り口です。途切れることなく車が走っています。右端の歩道を行くと、すぐ公園に出ます。
人口の丘
公園がカマボコ型になっていることがわかりますか?公園の一画には池も造られています。
アオトバーンをくぐるトンネル
長さ約30mのトンネルがアオトバーンの下をくぐっています。通れる車の高さは2.6mまで。
高速道路の建設によって、これまでそこにあった緑が失われ、つながっていた緑地が分断されることになりました。ビオトープは一つ一つが離れ離れになっているよりも、つながっているほうが動物のすみかとして価値が高くなります。それだけ移動の自由が増えるわけですね。

まず高速道路の上(長さ600メートル)をコンクリートでドーム上に覆い、その上に1mほど土を盛っています。公園はとても静かで、足のすぐ下を車が走っているとは思えません。私も公園局の方に説明されるまで気がつきませんでした。

この構造物は、横から見ると高さ10mほどの普通の丘です。景観がよくなるだけでなく、近くに住む人は車の騒音に悩まされることがありません。今は冬なので、草は刈り取られています。夏になると草が生え、特にチョウチョなどの昆虫が集まってきます。大きな木は生やさずに、草原の状態を保つようにしています。
 

普通の公園とビオトープの違い

一般的な街の公園
花壇にはパンジーが植えられています。季節ごとに花が植え変えられ、定期的に表土の加熱殺菌も行われます。考え方はビオトープの対極ですね。

カールスルーエでもビオトープの公園はまだまだ少数。特に街の中はこのような鑑賞用の公園がほとんどです。ビオトープの公園を好む人もいるし、きれいな鑑賞用の花が咲く公園が好きな人もいます。好みはさまざまですから、すべてがビオトープの公園になるわけではありません。

緑地のある普通の公園も『生き物の住む所』という広い意味ではビオトープと言えます。ただ、普通の公園はきれいな鑑賞用の花を植えて利用者の使いやすさを第一に考えますが、ビオトープはそこに生きる生き物のことをまず考えます。

例えば植え込み。見た目の美しさや管理のしやすさと、小動物や昆虫にとっての住みやすさとは別の問題です。単一の植物だけが植えられているような場合も、ビオトープとしての価値は下がってしまいます。

それから、ビオトープでは草刈りの時期も、生物のことを考えてしなければなりません。例えば花の咲く時期に刈り取ってしまっては、花を好む昆虫は住めないですね。草原に住む昆虫を呼び寄せようと思ったら、鑑賞用の花ではなく草原に生えているような草のほうがいいわけです。カールスルーエ市のビオトープの公園は、年に1、2回草が刈られます。

完全にビオトープの自然を守りたいなら、すべてを立ち入り禁止にするのが一番です。でも、それはビオトープの理想とは違っています。たしかに人が入らないようにしているところもありますが、触ったり匂いをかいだり、実際に自然を体験できる環境を作ることが理想です。
 

公園にある、いろいろなタイプのビオトープ
草原に住む生き物
草原にどんな昆虫が集まってくるか書いてあります。こうした表示板が公園にたくさんあります。
(日本語訳は 【 資料 】 に載っています。)
人口の湿地
今は水が枯れていますが、ここは小さな湿地帯です。人工的にくぼみを作り、水をひくことによって自然と湿地の植物が生えるようになりました。
湿地に住む生き物
(日本語訳は【 資料 】に載っています。)
積み石のビオトープ
これも公園のビオトープの一つ。トカゲなどは特にこうした岩場を好みます。そういう小動物のために作られました。この岩場は立ち入り禁止です。
廃材の再利用
遠くから見ると分かりませんが、積まれた石は建築廃材や道路の工事現場から出たアスファルトなどです。目立つところにだけ自然石を使い、見た目を良くしてます。
トカゲがいっぱい
実際、どのくらいトカゲが住んでいるのでしょう? 天気のいい4月初めの午後、岩の上をじっくりと眺めてみました。トカゲ(体長約10センチ)はうじゃうじゃいます! 表示板に書いてある通り、日光浴をしてました。
読書する女性
トカゲだけでなく人間もひなたぼっこ。読書する姿が絵になったので一枚パチリ。
岩場に住む生き物
今まで小さな動物など見たことの無かった街の子供たちがこうした公園で自然に触れあえます。子供たちにそうした機会を作ることもビオトープの大切な役目です。
(日本語訳は 【 資料 】 に載っています。)
草原の果樹園
この草原にはリンゴ、プラム、洋ナシが十数本植えてあります。木はまだ小さいですが、大きくなれば鳥、虫などのかっこうのすみかになります。実った果物はもちろん人も食べられます。後ろに見える小さな丘の下を高速道路が走っています。斜面に積石のビオトープがある。
果樹を好む生き物
草原と果樹はこの地方の特徴的な農村の風景です。市は希望する住民に無料で果樹の苗木を配っています。
(日本語訳は 【 資料 】 に載っています。)
 

 
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ビオトープ見学は、市の公園局の方にお世話になりました。
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