このトピック「ドイツのビオ食 品・エコショップ事情」は

財団法人 日本経済研究所の月刊誌 「日経研月報 2002年1月号」
「ドイツ環境レポート第1回」として掲載された記事に加筆したものです。

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ドイツのビオ食 品・エコショップ事情
〜より安全な食生活を求めて〜

  
より自然で安全なものを食べたいという思いは万国共通。
エコショップで売られている野菜や果物は形もバラバラで見た目は良くないが、考えてみればそれが本来の姿。
ビオ食品に慣れると、スーパーに並ぶきれいな生鮮食料品のほうが変に見えてくるから不思議だ。
エコショップ、ビオ農家、ビオ農業協会の取材をもとに、ドイツのビオ食品とエコショップ事情をレポートする。

 

目次

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狂牛病パニックから1年 1
エコショップ フュルホルン(Fuellhorn) 2
チーズの品揃えが自慢 2
20年間値段が変らない?! 2
ビオ農業 3
10年後は20%がビオ農家!? 3
変化に対する恐怖 3
ビオ食品の認証 4
大切なのは信頼感 4
取材協力 4


◆ 狂牛病パニックから1年

ドイツで最初のBSE(狂牛病)感染牛が見つかったのは2000年暮れ。それまでのドイツ牛安全神話はあっけなく崩れ去り、ドイツ社会にもBSEパニックが広がった。センセーショナルな報道が続く中、牛肉消費量は50%も落ち込み、友人の子供が通う幼稚園にも「給食に牛肉は使用していません」の張り紙。肉屋やスーパーの肉売り場からは危険性が高いと言われる部位が姿を消し、「検査済み/この肉は安全/州農業省」という、今まで見たこともなかったステッカーが貼られるようになった。肉売り場の店員に「この肉は安全?」と聞いたところ「牛乳だって牛から採ったものだろう! 乳製品は食べるくせに、なぜ肉だけ大騒ぎするんだ!」とにらみ返された覚えがある。消費者からすると的外れな怒りだが、食肉産業に携わる人々のやり場の無い憤りを感じさせられた。

その当時、何人かの知人にBSE発見後も牛肉を食べ続けるか質問したことがある。「もう牛肉は食べない!」という他に、「いつも信用できる肉屋(あるいはエコショップ)から買っているから大丈夫!」、「アルゼンチン産の牛肉を食べているから大丈夫!」、「ベジタリアンだから大丈夫!」などの答えが返ってきた。私の目から見るとドイツの肉・乳製品消費は過剰で、その反動からだろうか、日本に比べてベジタリアンが多い。社員食堂や学生食堂のメニューにも必ずベジタリアン用のメニューが用意されている(これは、宗教上のベジタリアンのためでもある)。「もう50年も牛肉を食べ続けているのだから、いまさら止めても手後れ。だから気にせず食べる!」なんていう刹那的な意見もあったが、まじめに自分と家族の健康を考える人の視線は、おのずとビオ食品・エコショップへ向かうようになった。

写真0 スーパーの肉売り場にて(2000年11月30日撮影)

スーパーの肉売り場にて (2000年11月30日撮影)
ステッカー:「骨付きスープ用骨付き肉/検査済み/この肉は安全/州農業省」

 

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