このトピック「ドイツのビオ食 品・エコショップ事情」は
私がよく行くのが、市の中心部にあるエコショップ フュルホルン・カールスルーエ店。以前からこの店を利用しているが、BSEが発見されてからは俄然、利用回数が増えた。エコショップはドイツ社会にしっかり根を張った存在だが、今回のBSEパニックはビオ食品とエコショップの重要性を再認識するきっかけになったといえる。店長のプリューファーさんに、現代のビオ食品とエコショップについて話しをうかがった。
フュルホルンの創業は1982年で、自然食品に興味を持つマイヤーさん(当時の職業はエンジニア)が売場面積30平方メートルの1号店を開いたのが始まり。その後のビオ食品ブームが追い風となり、現在はバーデン・ヴュルテンブルグ州北部を中心に計5店舗を持つチェーン店に成長した。グループ全体の従業員はパートも含めて約60人、売り上げは年間約4億円。カールスルーエ店は1987年開店、売場面積は約300平方メートルである。ビオ食品だけでなく農薬や化学薬品を使用していない衣料品・おもちゃ・ベビー用品・化粧品・革製品なども売っている。
小さいものでも1つ20マルク。 大量生産される通常のおもちゃに比べると高い。 |
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野菜・果物売り場
買い方の手順: 1. 買いたい商品を好きな量だけ取り、自分で計りに乗せる。
2. 商品ごとに番号が決まっているので、そのボタンを押す。 3. 商品名・重さ・値段の書かれたシールが出てくるので、それを商品(を入れた袋)に貼る。 4. 会計は他の商品と同様にレジで ※これらは、エコショップに限らない一般的な野菜・果物の販売方法。 |
1号店開店当初は数種類しかなかったビオチーズも、今ではなんと80種類。同様に種類の少なかったビオワインも今では50種類が棚に並んでいて、こういった豊かな品揃えがプリューファーさんの自慢だ。昔を知らない私には今の様子が当たり前のように感じられるが、1品1品商品を増やして来たプリューファーさんは感慨深そうだ。1980年代、商品はビオ農家から直接仕入れていたが、現在はビオ農業協会やビオ食品卸業者からの仕入れが主だ。
チーズ売り場 右の女性が店長のプリューファーさん。プリューファーさんお気に入りの |
果物売り場に並ぶリンゴ 1kg4.99マルク。お世辞にも見た目が良いとは言えない。好きなだけ取り、備え付けの計りで重さを計る。 |
プリューファーさんによれば、1970年代の家計に占める食費の割合は約30%だったが現在は約15%。食費を安く抑えたいという消費者の安値志向はきわめて強い。そういった状況下、スーパーなどに比べて値段の高い自然食品を売ることには難しさが伴う。例えば卵。プリューファーさんによれば20年経っても一般の卵の値段はほとんど変っていないそうだ。フュルホルンで売られるビオ卵(L)は1個約42円。それに対して、店からほんの50mのところにある大型スーパーの卵は1個約10円。
主な食品の値段を2店で比較してみると,
ジャガイモ1kg : 180円 / 37円
ハム100g : 180円 / 48円
牛乳1l : 110円 / 70円
リンゴジュース1.5l(100%):140円 / 66円
パスタ500g :140円 / 48円
といった具合(1マルク=60円として)。安心感は金額に換算できないし一般家庭では食費に限界があるので、“何をエコショップで買い、何をスーパーで買うか”の妥協点を見つけるのに悩むところだ。フュルホルンのお客さんの中で特に目立つのが子供連れの女性。3才くらいの娘さんを連れて買い物をしている30代の女性に話しを聞かせてもらった。
-どのくらい頻繁に来店するのか?
「1週間か2週間にに1回くらいで、主に野菜や果物を買います。スーパーで売られている食品に深刻な不安を感じているわけではないけれど、子供のことを考えると生鮮食料品はやっぱりビオ食品がいいと思います。でも、すべての食品をエコショップで買うわけではありません。」
-街にある多くのエコショップのなかで、なぜフュルホルンに?
「店内がそんなに込んでいないし、売り場面積も手頃だから。」
-BSEに不安は?
「やっぱり不安はあります。あ、エコショップの牛肉は安心だけどね。それでもこの1年、牛肉はほとんど食べていません。」
卵コーナー 値段・等級・生産者名・ビオ農業協会のロゴが書かれている。
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子供連れの女性 女の子は子供用カートを押して御満悦。
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